石田貞雄さんの絵(2)
石田さんの絵を観る時の、私の幻想の話をしてみよう。
石ころを二つ空から目の前の空間に取り出してみる。
石にAとBという印を与える。
AとBを線で結んでみる。
この時、線を「鉛筆」で引こうか、それとも「赤い糸」で結ぼうか?
見えない物を可視化しているのだから、どちらでもよいが・・・・、
私にとっては、静けさから始まって、やがて狂騒乱舞とでもいおうか、
全ての始まりと終わりへ向かう微粒の嵐が出現する。
よく見れば、みな、あのAとBの線と同じものの集積が、彼方までつづいている。
無数という語で諦めるしか手はなさそうだが・・・。
私が企てた内容は、全ての石に印を付して、線で結んでみるということである。
「不可能な作業である」、そんなことは解っている。
だがこの作業から「脇へそれてゆくな!」 と、何者かが背後から叫んでくるのである。
こうして、びっしりと目の前の風景を線で埋め続けてみると、
「無限」にしろ、「関係」にしろ、「変化」にしろ、「嗚呼・・・」という溜息のようなものにしろ、
そういう言葉が指し示そうとした表現のドラマが、「波音」として絶え間なく聞こえてきてしまう。
ちょうど、そんな作家に出会ったような気がする。