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船山佳苗さんの絵(2)



船山佳苗さんの絵(2)  ~ 空間がよく観える ~

「空間が先ず、意識され、その構成の内部で描かれている。私にははっきりと観えますよ」と、作家への応答を、届けたい、と思った。
それが人々の《話》という意味であり、編集者や、出版社、ギャラリー側の心理でもある。
気持ちのよい開放感のある空間性は明確な姿を顕している。

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「時間・空間」の内側に在る、さらに奥の『空間』というのは「《時間の忘却》において成り立つ 奥行きの世界」である。
それは「自然的・心的な時間」の最中にあっても、止まっている=静止している という世界の 位相として、私達に存在している。
それは まさに「《時間の忘却》のうちに在る」ということができる。
だから、《時間の忘却・停止》へと「追い詰める」のだ、といいかえてもよい。
このように、その《忘却》に積極的な意味合いを与える、ということこそが、ここでは枢要なこ となのである。
「時間意識の欠落」というようにどこか「消極的、マイナスのイメージを添わせてはならない。
この「静止意識」が、精神の豊穣を約束しているのである。
  第一に、「空間」ということに、焦点を絞り込むことができ、そのことが開放感を生み出すのである。
  第二に、「自然的・心的な時間」の最中にて、「時間」を《忘却》したという地点から、逆に「戻ってくる」ことが可能になるような「思考・感性の道筋」を明確に捉えることができる。

印象的なのは、下の作品には、機関車が、『空間の中に構成されてある』、ということがよく観える、ということである。
一般的な意味で、描くという「観念的な作業」の道筋が、鑑賞者によく提示されている作品である。それはこのような「時間、空間」のいくつかの層の重なりが、そこに存在しているからだと よく理解できると言えるものである。

2020年4月21日   文   ことのは 宇田川 靖二
 

2013

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